噛みかたの講釈

噛みかたの講釈

経験的な話になりますが,“噛み方”を考えたことがありますか?人によって,ものすごい勢いで,早くガチガチと噛む方もいれば,すごくゆっくりカチカチと噛む方もいます。被せるものは,人間が作ったモノです。

意地悪な言い方をすれば,物は使わなければ壊れません。よく口の中の材料として知られるセラミックス。陶器といわれたりするので,勘違いされる方も多いかも知れませんが,あれは,磁器です。古代遺跡の中からかつての形のまま,発見されるものも多いですよね。歯に使うセラミックスも,土の中に埋めておくならば,何千年と壊れることなく,もつでしょう。しかし,実際は,噛むために作られます。したがって,使ったら,壊れるのが,モノの宿命です。あとは,使い方の違いによって,寿命は左右されるということでしょう。噛むというのは,非常に大きな力が加わります。大臼歯で80kgともいわれています。氷のように冷たいものからお茶のように熱いものまでの温度差にも耐え,細菌という微生物にも耐えられる,素晴らしい材料です。

 

家に高価な磁器やワイングラス,ウイスキーを1人で楽しむための大切なグラスがあるとします。使用頻度はどうでしょうか?毎日使う場合もあれば,大切な方が来客した時だけしか使わないものもあるでしょう。使用頻度が少なければ,落とす,ぶつけるなどの事故にあう危険性も低くなります。家にいて,道路に出ないのと同じです。大切に使えば,それだけ壊れる確率は低くなります。男性に多くみられるのですが,すごい力でガチガチやる方は,きっと若い時から,昼休みもろくろく取れずに,働き続けた時の癖が抜けないのでしょう。ゆっくり,やさしく噛む。これは,唾液も多く出させ,消化を助けることから胃腸にも良いことになります。ゆっくり優しく噛むことは,だれでも可能です。優しく扱えば,壊れる確率も低くなります。どうか,噛み方を考えてみてください。高齢のかたは,噛み方もスローライフでお願い致します。